地方就職の第一歩!新しい働き方をお試しできる、地方副業を体験してみた

地方就職の第一歩!
新しい働き方をお試しできる、地方副業を体験してみた

「地方で就職したり移住したりすることに興味はあるけれど、いきなり実行するにはハードルが高い」とお考えの皆さま。まずは、お試しで地方副業という選択肢はいかがでしょうか。

地方での仕事や生活の様子を具体的にイメージできるようになって、地方就職の選択肢がより現実的になりますよ!

「そうは言っても、地方での副業だってイメージするのは難しい。一体どんな感じなの?」――そんな疑問にお答えすべく、今回、LO活-thinkでライターを務める私・浅岡が実際に地方副業を体験してきました。その模様をレポートします。

行き先探しと副業を始めるまで

21年初秋、都内某所。私はLO活-think編集部の依頼を受け、地方副業体験先を探していました。

心の声(地方で副業って、どうやって調べたらいいのだろう。とりあえず検索サイトを使って「地方」「副業」のキーワードで調べてみよう)

カタカタカタ――。

心の声(おー!地方副業のマッチングサイトや情報がいっぱい出てくる!こんなにあるのだな)

2021年9月に、実際にGoogleで検索した結果ページの一部

心の声(エリアで探せたり、条件別で探せたり、就職情報サイトを見ている感覚に近いぞ。どのマッチングサイトもいろいろな副業先が紹介されているけれど、この「スポーツホテルアゼリア飯綱・戸隠高原(いいづな・とがくしこうげん)」の募集要項が何だか良さそうだ。

業務内容は「スポーツホテルアゼリア飯綱・戸隠高原の利用できる資源を生かした宿泊・滞在プラン作り」とあるから、自分自身を宿泊客とした視点で考えられそうだし、自分の興味にも合いそう。それに長野県の飯綱、環境も間違いなく良さそうだ!)

このような流れで、早速サイトのエントリーフォームから連絡し、事情を伝え、1泊2日の副業体験を受け入れてもらえることになりました。

「スポーツホテルアゼリア飯綱・戸隠高原」(以下アゼリア)は、長野県にある中央タクシー株式会社が運営しています。


[会社名]中央タクシー株式会社
[設 立]1975年7月22日
[従業員数]200名(乗務員170名)
[WEB]https://chuotaxi.co.jp(中央タクシー)
https://www.azeiria.com/(スポーツホテルアゼリア飯綱・戸隠高原)


 

依頼される仕事内容は、アゼリアのホテル業務を行いながら、新しい宿泊プランやお客さまに興味を持ってもらうための施策を考えるというもの。突然のお願いにも関わらず、快諾してくださった中央タクシーさんには大変感謝しています。

それでは早速、行ってきます!

業務開始!そして社長にヒアリング

体験初日、まずは朝礼に参加しました。

その日に業務を担当するスタッフ全員で、一日の流れを確認します。

日中の宴会プラン、地元スポーツクラブの会議室および大浴場の利用、夕食時のバーベキュープランなど、準備を開始する時間や担当者、必要な準備事項を共有します。

ホテルは単に宿泊する場所としてだけでなく、さまざまなお客さまのニーズに合わせて、宴会場や会議室、大浴場といった施設・設備を提供しているのだな、と理解が深まります。

朝礼が終わると、スタッフの方それぞれが分担して準備や片づけに奔走します。
私も、スタッフの方に付いて、館内の施設を説明してもらいながら、準備を手伝いました。

まずは会議室のセッティング。利用するお客さまが事前に依頼していた状態に配置替えをします。

続いておみやげコーナーの品出し。長野県が行っているキャンペーンのクーポンが使えるので、通常時よりおみやげを買っていく方が多いそうです。

バーベキュースペースを利用するお客さまがいらっしゃるので、落ち葉をブロワーで吹き飛ばして掃除をしました。

その後はチェックイン前の客室設備を確認したり、

日中の宴会の片付けをしたり、

フロントの受付業務も教えていただきました。

色々な業務を体験して見えてきたことは、

①ホテルが提供するサービスは「どの施設を」「どんなお客さまに」「どのように提供しているか」が土台にあり、その上でお客さまのニーズに合わせたセッティングや接客があるということ

②それらのサービスの裏側でどんな準備・片付けが行われているかということ

の2点でした。

今回の副業体験を始めるにあたり支配人から、「新しい宿泊プランを考える上で、お客さまに喜んでもらうことは大前提だけれども、具体的にどんなオペレーションで回せるかまでを考えないと、絵に描いた餅に終わってしまう」という話がありました。実際に業務を体験してみて、それがよく分かりました。

その後、運営元の会社である中央タクシーの宇都宮社長に、中央タクシーがスポーツホテルの運営に至った経緯や、今後このホテルをどのようにしていきたいか、お話を伺いました。

アゼリアは、以前は長野市が運営していましたが、民営化に伴い、中央タクシーグループが経営することになったとのこと。

タクシーとホテルはビジネスとしては全く異なるものですが、どちらもお客さまが良かったと思える体験を提供することに価値があるという意味では同じだという考え方に、深く納得しました。

業務体験やヒアリングを通してたくさんのインプットをもらったので、宿泊用に用意していただいた客室で、新しい宿泊プランについて考えました。

プランに煮詰まったため気分を変えようとフラッと外出すると、すぐ近くにある湖のほとりにこの風景が広がっていました。

アゼリアは、長野駅から車で20分ほどの飯綱高原にあり、ハイキングコースが近くにある自然豊かな場所にあるので、気分転換の散歩は最高でした。

「長野駅付近なら生活にも便利だし、車で20分なら通勤もそう遠くない」と考えながら、気が付いたら家賃を調べている自分がいました。

あっという間に副業体験が終了

そして翌日。支配人に副業体験のお礼を伝え、考えた宿泊プランを提案しました。

「せっかくのいい天気なので、外でやりましょう!」と言っていただき、気持ちのいい秋晴れの空の下で提案しました。

当初は、「支配人、いかがでしょうか?」「うーん、却下!」といったやり取りを想像していました。が、思いがけず話は大いに盛り上がり、提案の中で「それならこんなこともできるのでは?」「今こんな企画をしようと思っていて」と、新しいアイディアが次々に生まれる、企画会議のような場となりました。

支配人からは、「普段は同じメンバーで仕事をしているので、外から来た方にこうして入ってもらうことで、業務の捉え方やサービスについて、我々が気付きにくい観点からの示唆が多く得られて本当にありがたい」と言っていただきました。

今回は「体験」ということで、2日間で終了になりましたが、本来の仕事(副業)は定期的にアゼリアに訪問・宿泊しながら、具体的な宿泊プランを作り、実現に向けてお試しプランの販売・実行までを担っていくそうです。

副業体験を終えて

地方副業体験の良い点は、現状の仕事や生活はそのままに、これまでと違う地域での仕事・生活を実体験できることです。それによって、地方での働き方や生活スタイルがどのようなものか、また自分自身と地方就職の相性も分かります

もちろん、数日の経験ですべてが分かるものではありません。ですが、行った後と行く前の状態では、想像のリアリティや解像度が明らかに変わりました。

もう一つ気が付いたことは、「地方の仕事」あるいはその対義語としての「都会の仕事」とざっくり括ることにあまり意味はない、ということでした。都会の方が多くの仕事があるとは言え、日本全国さまざまな地域に本当に多種多様な仕事があることを、今回の副業先探しの中で知りました

具体的な会社や仕事内容を見ながら、自分でも役に立てそうな場所を探すことは、働く地域にかかわらず仕事を探す上で共通することです。都会以外の地域に目を向ける人が少ない分、地方はむしろ自分が貢献できる範囲が大きくなる可能性を感じました

仕事の面でも生活の面でも、自分の可能性を気軽に広げられる地方副業。地方就職の第一歩として、皆さんも体験されてはいかがでしょうか?

 

※この記事に掲載されている情報は、2021年12月にサイトに公開した時点での情報です。