モヤモヤ解消ケーススタディ
スキルアップできていない気がする
スキルアップにまつわる相談は、とても多いのが現状です。まず考えてみてほしいのは、あなたにとってスキルアップとは何なのか、ということです。スキルアップとは、特別な条件がそろわなければかなわないものでしょうか? やりたい仕事でなければ得られないものでしょうか? 一口にスキルといっても、等級や資格のように目に見えるものばかりではありませんから、実感しにくいこともあるでしょう。でも、今よりもう少し視野を広げるだけで、スキルアップの捉え方が変わってくるかもしれません。
さて、スキルアップにまつわる失敗思考と成功思考を見ていきましょう。
※この原稿は、3人の現役キャリアアドバイザーに取材した結果を編集部で構成し作成しました。
【失敗思考】
● スキルアップは目に見えるもの?
失敗思考の人の多くは、スキルアップを定義するときの視野が非常に狭くなっています。あなたにとってのスキルアップって、一体何でしょう? 例えば、中小企業担当の営業職なら、次は大企業の担当にならなければスキルアップとは言えないのでしょうか? そんなことはありません。
任される仕事の大きさだけがスキルアップの指標ではありません。仕事の進め方や考え方をブラッシュアップしていくこともスキルアップであり、こうした目に見えない積み重ねこそが、あなたの実力の土台となるのです。
● 仕事を選り好みしていませんか?
こんなケースがあります。やりたい仕事があってとある会社に入ったものの、その仕事を担当させてもらえない……だからスキルアップできない、というのです。やりたい仕事以外ではスキルアップはできないものでしょうか?
逆に、チャレンジングな環境で知られる会社で働いているはずなのに、スキルアップが実感できないというケースもありました。ところが、その人は、やりたい仕事だけを選んでいて、やりたくないことには一切チャレンジしていなかったのです。これでは、自らスキルアップのチャンスを放棄しているようなものです。
さらに、単調な仕事を淡々とこなすだけの毎日で、スキルアップの余地がないというケースも。しかし、就職活動にまでさかのぼって話を聞くと、その人はできるだけラクそうな仕事を求めてその会社に入っていたのでした。「こんなふうに働きたい」という理想とはかけ離れた環境の職場を自ら選んでいたのでは、なかなか思うようにいかないのは仕方ありません。
● 自分の立場を客観視できている?
中には、真面目に考え過ぎて「このままでは会社に貢献できていない」と焦りを抱いている人もいるかもしれません。でも、あなたがもし入社数年目の若手社員だとしたら、会社や上司があなたに期待していることは、いきなり大きな手柄を立てることではないはずです。小さな成功体験を繰り返しながら、一歩ずつ成長してほしいと考えているのではないでしょうか?
【成功思考】
● 目の前の仕事に全力を尽くしてみよう
では、成功思考のケースを見てみましょう。成功思考の人は、それがやりたいことであっても、やりたくないことであっても、目の前の仕事に全力を尽くします。そもそも、やりたいことというのは得意なことである場合が多いのではないでしょうか? でも、人間が大きく成長するのは、不得意なことを克服し、できるようになったときだったりします。つまり、やりたくなかった仕事をやってみるということは、大きなスキルアップのチャンスなのです。
● スキルアップとは、できないことができるようになること
成功思考の人は、スキルアップを等身大に捉えている、とも言えます。スキルアップを、一度、任される仕事の大きさや等級などと切り離して考えてみましょう。どんな仕事を割り当てられるか、どんな等級に位置付けられるかは、あくまでその会社の中での評価であり、例えば転職して評価制度が変われば、また違った結果となり得るものです。一方、スキルアップとはあなた自身が昨日よりも成長できたかどうかであり、たとえ環境が変わったとしても、あなたの中に着実に蓄積されていくものです。
つまり、スキルアップとは、できないことができるようになること、見えないものが見えるようになることです。そう考えると、自分がどうなりたいのかさえ分かっていれば、どんな会社、どんな仕事にもスキルアップの種は無数にあると思いませんか?
● 自分に足りない部分を認めよう
スキルアップの種を積極的に見つけて、自分の糧にしていけるかどうか。それは、自分に足りない部分を把握できているかどうか、ということでもあります。そのためには、折に触れて自分がやってきたことを棚卸ししてみる必要があります。これは、一人でやるのはちょっと難しいこと。例えば、気さくな先輩や隣の部署の人などに相談してみるのも良い方法です。