モヤモヤ解消ケーススタディ

CASE 07

福利厚生に不満がある

住宅補助やリフレッシュ休暇の有無など、法定外の福利厚生は、会社によってまちまちです。中には、社員食堂が無料だったり、オフィス内にジムがあったり、誕生日は休みになるなど、ユニークな福利厚生を実践している会社もあります。きらびやかな情報に触れていると、「それに比べてうちの会社は」……とモヤモヤが生まれてしまう気持ちはよく分かります。福利厚生は、充実していればいるほどありがたいもの。でも、それは、あなたが仕事を選ぶ上でどこまで大切なことでしょうか?
さて、福利厚生にまつわる失敗思考と成功思考を見ていきましょう。
※この原稿は、3人の現役キャリアアドバイザーに取材した結果を編集部で構成し作成しました。

【失敗思考】

● 隣の芝の一部だけを見ていませんか?
大学時代の友人と久しぶりに話してみたら、うらやましい話ばかり聞いてしまった……。そんな経験、ありませんか? 「あの子の会社はオフィス内に無料で使えるすてきなカフェがあるそうだ」「あいつの会社は住宅補助が月に○万円らしい」などは、誰もが憧れて当然のこと。失敗思考の人は、そのうらやましいところだけを取り上げて比較してしまいます。

でも、仕事や職場の全体像を眺めてみたとき、同じようにうらやましく感じるでしょうか? リフレッシュに力を入れている会社は、大きなプレッシャーのかかるハードワークなのかもしれません。住宅補助の手厚い会社が、基本給も良いとは限りません。

● 入社を決めたのはあなた自身では?
ちなみに、お国柄によっては自分の給料をオープンに言い合うところもあるそうです。ところが、日本では「あなたの手取りはいくらですか?」なんて聞くのは失礼ですし、万が一聞かれても答えない人が大半です。あまり開けっ広げにお金の話をしない文化であるがゆえに、福利厚生という部分的な情報だけを交換して、それにとらわれてしまうのです。

失敗思考の人も、元を正せば自分でその会社を選んだはず。何か魅力を感じたり、意欲を刺激されたりする点があったから、入社を決めたのではないでしょうか? たまに愚痴をこぼしてしまうことは誰にでもあるもの。それ自体は悪いことではありません。けれども、小さなことにこだわりすぎて、あなたにとって本当に大事なことを見失ってしまうのは避けたいものです。

まとめ
仕事の環境や労働条件は、多くの事柄が絡み合って成り立っています。にもかかわらず、失敗思考の人は全体像を見ようとせず、小さな部分にフォーカスしてしまいがちです。

【成功思考】

● そこそこ満足ならばOK
では、成功思考のケースを見てみましょう。成功思考の人も、より良い条件をうらやましく感じます。一方で、何から何まで満足できる会社などないことを理解しています。住宅補助の有無も休暇の多い少ないも、結局は量的な物差しに過ぎません。住宅補助があったとしても基本給が少ないケースは多々あります。休暇が多い分だけ残業を強いられるケースも考えられます。部分だけ取り上げたときにはあちらがよく見えても、トータルで見てみたら結局同じ、ということは十分あり得ます。

どんな福利厚生を提供できるかは、当然ながら会社の規模や経営状態、業務内容によって大きく異なります。成功思考の人は、現状に即さない高望みをしたり他社と比較したりせず、自分の価値観に照らし合わせて「そこそこ満足ならばOK」と考えています。

● 自分にとって重要な事柄に集中しよう
成功思考の人が失敗思考の人と対照的なのは、「自分がこの会社を選んだ」という意識を常に持っていることです。仕事を選ぶときには、例えば関心のある分野に携われるとか、日々成長を感じられるとか、あなたなりに何かしら重視していたことがあるはずです。それを捨ててまで、どうしても手に入れたい福利厚生があるでしょうか?

現実的に考えて、若手社員の立場で福利厚生をコントロールするのはかなり困難です。成功思考の人は自分の立場をよく分かっていて、隣の芝を眺めるよりも、自分とって重要な事柄に集中した方が得るものが大きいと知っているのです。

まとめ
福利厚生に関する不満は、他社と比べてしまうと尽きることがありません。誰だってより良い環境で、より良い条件で働きたいに決まっています。けれども、成功思考の人は、仕事の価値を全体として捉えています。小さなことに気を取られることなく、目の前の仕事に集中しています。働く上であなたが最も重要視することは何か? それを見失わないことが、日々の充実感につながります。