モヤモヤ解消ケーススタディ

CASE 08

評価制度に疑問を感じる

社内評価に対する疑問や不満を理由に転職を考える人は、たくさんいます。どうすれば評価されるのかが分からなければ、仕事自体がつらいものになってしまいますから当然です。けれども、その疑問や不満はどこに向けられたものか、もう一段階掘り下げてみたことがあるでしょうか? 評価制度の仕組みそのものに違和感があるのか、上司が下す評価に異論があるのか、それとも評価されているけれど見返りが足りないと感じているのか……。
さて、評価制度にまつわる失敗思考と成功思考を見ていきましょう。
※この原稿は、3人の現役キャリアアドバイザーに取材した結果を編集部で構成し作成しました。

【失敗思考】

● 評価の仕組みを理解していますか?
失敗思考の人に多いのは、自分の会社の評価制度をちゃんと理解できていないケースです。その制度にはどんな意図があるのか、どんな背景があるのか、どんな仕組みで運用されているのか。こうしたことを知らないままで不満を口にしたのでは、ただの愚痴になってしまいます。

漠然と愚痴をこぼす人の中には、上司や報酬に対する不満を評価制度への不満に置き換えてしまっているケースも。モヤモヤの原因を曖昧にしたまま転職しても同じ失敗を繰り返してしまうので、評価あるいは評価制度の何が不満なのか、掘り下げて考えてみましょう。

● 完璧な公平性を求めていませんか?
評価制度に完璧な公平性を求めてしまうのも、失敗思考の人にありがちなこと。評価制度というのは「公平」を追求するものではありません。自社の事業を展開するためにこんな社員を育てたい、こんな組織を編成したいという会社側の意図に基づいて設計されています。つまり、評価制度はあくまでその会社の中でのルールであり、それだけに相性や向き不向きも多分に影響するのです。

厳しい言い方になりますが、失敗思考の人は、無意識のうちに自分にとって得になる公平な制度を求める傾向にあります。残念ながら、そんな都合のいいルールはどこにもありません。一定の評価を獲得するには、その会社の制度を客観的に理解し、それに応える努力をする必要があります。

● 評価制度はガラス張りになっていますか?
しかしながら、評価制度が破綻している会社が存在することも、残念ながら事実です。上司の好き嫌いで決まってしまう、それに対する周囲の意見が何ひとつ取り入れられない……あなたがもしこんな状況にあるのなら、そんな会社に縛られることはありません。

本来、評価制度というのはガラス張りであるべきもの。真っ当な会社であれば、評価制度がどのような仕組みになっているのか開示されているはずです。それがブラックボックスになっているようなら、転職を考えてもよいかもしれません。ちなみに、大きな会社や有名な会社だから信用できるとは限りません。

まとめ
失敗思考の人に共通しているのは、評価制度そのものへの理解不足です。公平性を追求しても、被害者意識が強まってしまうばかり。まずは自分の会社の評価制度の意図や仕組みを知りましょう。

【成功思考】

● 評価制度とは、スポーツのルールのようなもの
では、成功思考のケースを見てみましょう。成功思考の人は、評価制度というのはあくまで社内のルールであると考えています。スポーツに例えると分かりやすいでしょうか? スポーツは、一定のルールの中で行うもの。ルールに則ってゴールを奪ったりポイントを取ったりしない限り、決して評価されません。成功思考の人はルールをきちんと把握することで、逆にそのルールを活用して試合をうまく運び、ゲームに勝利しているのです。

ある会社で評価が高い人は、どこへ行っても評価が高い。これは、よくあることです。仕事の能力の高さももちろん無関係ではありませんが、そういう人は評価制度を客観的に理解することに長けています。だからこそ、評価制度の仕組みを活用しながら自分のやりたいことを実現できる、というわけです。

● 自分に合った仕組みを知ろう
成功思考の人は、自分に合った評価制度がどのようなものか分かっている、と言い換えることもできます。例えば、こんなケースがありました。年功序列の評価制度が定着している大手企業に勤める人が、「実力で評価され、それが報酬に反映される職場で働きたい」とベンチャー企業に転職しました。ところが、その人はしばらくしてそのような環境は自分には向いていなかったと気付き、再び年功序列的な制度を導入している大手企業に転職しました。

このケースは一見すると失敗のように思えます。でも、一度トライしたからこそ、この人は自分に合った働き方を見つけることができました。行動を起こしてみなければ分からないことはたくさんあります。成功思考の人とは、失敗しない人のことではなく、失敗から学びを得られる人なのです。

まとめ
会社の大小に関わらず、組織で働く人にとって、評価制度は気になって当然の事柄です。しかし、評価制度とは、あなた自身の絶対的な価値を決めるものではありません。あくまでもその会社の中でのルールに基づいた、一つの見方に過ぎません。ルールに振り回されるのではなく、むしろ活用して攻略するというスタンスが、成功思考のポイントです。