モヤモヤ解消ケーススタディ

CASE 09

有給休暇が取りにくい

有給休暇は、働く人の権利です。「有給休暇が取れない」という事態は、本来あってはならないこと。また、よく耳にするのが「取れないことはないが、取りにくい」という状況です。先輩たちが忙しそうにしていて言い出しにくかったり、申請するたびに上司に嫌な顔をされたりしては、有給休暇のたびにモヤモヤが積み重なってしまいます。仕事の疲れを癒してリフレッシュするための休暇がストレスの種になってしまうなんて、本末転倒です。
さて、有給休暇にまつわる失敗思考と成功思考を見ていきましょう。
※この原稿は、3人の現役キャリアアドバイザーに取材した結果を編集部で構成し作成しました。

【失敗思考】

● 状況把握、できていますか?
有給休暇について悩む人に「そもそも会社の就業規則はどうなっているの?」と尋ねると、「分からない」という答えが返ってくるケースがあります。失敗思考の人にありがちなのが、こうした現状の認識不足です。モヤモヤが生じたときは、まず一歩引いたところから自分の置かれた状況を見詰めてみましょう。会社の就業規則を確認してみたり、別の部署の有給取得状況を聞いてみたり。情報や状況を客観的に把握することが先決です。

● その忖度、必要ですか?
有給休暇を申請するときに、自分はまだ会社に貢献できていないからと遠慮したり、上司や先輩が忙しさにピリピリしているのにとても言い出せないと尻込みしたりしている人もいるでしょう。こうした心理的な理由があるのなら、その原因を取り除かなければ問題は解決しません。

第一に、こうした忖度は本当に必要でしょうか? 相手の立場で考えることは大切なことですが、思い込みによる勝手な忖度は失敗思考のもとになってしまいます。有給休暇は権利ですから、過度に遠慮することはありません。もし会社側が「取らせない」という姿勢ならば、あるいは本当に「取りにくい」状況で、先輩や同僚もみな満足に取れていないのならば、転職を考えましょう。真っ当な会社ならば、すんなり取れるはずなのです。

● その仕事、楽しいですか?
失敗思考の人には、視野が狭まり、問題の本質が見えなくなっているケースが見られます。もしあなたが「有給休暇が取りにくい」を理由に転職を考えているのなら、ちょっと待ってください。仕事が楽しくて、成長しているという実感を得られている人にとって、有給休暇の取りにくさはそこまで決定的な問題にはならないもの。もしかしたら、有給休暇以前に、仕事内容自体に不満があったり、面白さを見出せていなかったりしないでしょうか? 同じことを繰り返さないためにも、見えやすい事柄だけに目を向けずに、あなたのやってきたことやあなたが感じていることを客観的に整理してみましょう。

まとめ
失敗思考の人には、遠慮しすぎたり気を回しすぎたり、必要以上に忖度してしまっているケースがあるようです。有給休暇が取れるのに取らないのは、会社の責任ではなく自己責任になってしまいますから要注意です。

【成功思考】

● 有休休暇=権利と考える
では、成功思考のケースを見てみましょう。成功思考の人は、有給休暇はそもそも権利であると割り切っています。仕事を選ぶうえで有給休暇を重視しているのならば、入社前に取得率を調べるなど、然るべき確認をします。結果的に取りやすい仕事に就くことになるので、取りにくい状況に陥ることもありません。

● 取りにくい状況を変える
それでも否応なく有給休暇を取りにくい環境に置かれてしまったとしたら、どうでしょう? 成功思考の人は、状況を変えるためにアクションを起こします。

休むことで誰かに負荷がかからないように配慮したり、改善を求めて意見したり。若手の意見が聞き入れられにくいなら、発言力を高めるために仕事で成果を出そうと努力します。もちろん、小さなことからでも大丈夫。話のわかる先輩に相談することも、一つのアクションです。もしそのようなアクションを重ねても状況が改善しないようなら、一旦その職場で学べることに集中し、それを得たあとすぐに転職すればよいのです。

まとめ
働く人の権利であるはずの有給休暇について、成功思考の人と失敗思考の人がいるというのは妙なことではあります。しかし、成功と失敗の分かれ目は、その他のさまざまなモヤモヤのケースと似ています。第三者に相談するなどして広い視野を持つこと、そして自分を客観視することが、物事をスムーズに運ぶためのコツなのです。